個人民事再生の流れ

法律事務所に依頼をするとまず、依頼をした当日または次の日には法律事務所より債権者に受任通知が送付されて以後、取立ては止まり、返済もいったん止まります。次に債権者に取引履歴を開示させ、その情報をもとに上限金利に基づく引き直し計算をし、借金の金額をはっきりさせます。取引履歴が開示されるまでには弁護士が介入するようになったあとひと月から3ヶ月ほど要することがあります。なお、計算の結果、過払い金が生じていれば、債権者に返還を請求することが可能です。

入金このあと、引き直し計算で求めた借金の元本を基準として、返済期間や毎月の返済額などに関する和解案を作り、依頼人のチェックを経て債権者に提示します。この和解案について債権者と法律事務所のあいだで交渉が行なわれ、話がまとまれば和解内容を確認するための合意書を作ります。

合意書の作成後は、和解内容に沿って毎月債権者の指定する口座に分割金を入金します。法律事務所によっては債権者への返済を代わりに行なってくれます。ただ、お金を出すのは依頼人で、法律事務所は債権者への入金の手続きを代行してくれるだけです。和解内容どおりに全額の返済が終われば、民事再生の手続きは終わりということになります。

個人民事再生の種類

まず、小規模個人再生という借金の整理方法があります。小規模個人再生は家のローンとは別の借金の合計額が5,000万円以下で、継続して収入を獲得する見込みのある個人が選択可能な債務整理の方法です。法律で決まっている最低弁済額または精算価値(持っている財産の総額)のいずれか高いほうの金額を最低限返していかなければなりません。返済期間は基本的に3年です。また、個人民事再生の返済計画が裁判所に認められるには、債権者の半数以上の反対がないことに加え、反対した債権者にしている借金が債権額のトータルの半分を超えていないことが条件です。後述する給与所得者等再生は過去7年以内に破産法による免責決定を受けていると申立を行なえませんが、小規模個人再生では可能です。

給与所得者等再生個人民事再生の小規模個人再生のほかには、給与所得者等再生という借金の整理方法もあります。給与所得者等再生は、小規模個人再生を選択できる人の中で、給与などの安定収入を得ていて、収入の変動幅が大きくない人が選択可能な方法です。最低弁済額と清算価値のほか、収入から税金や政令で決まっている生活費をマイナスした金額である可処分所得の2年分のうち、いずれか高いほうの金額を最低限返していきます。このため、小規模個人再生より返済額は高くなるのが普通です。ただ、債権者の半数以上の反対がないことのような小規模個人再生にある条件が給与所得者等再生ではありません。

別の債務整理との違い

債務整理自己破産は認められると借金全額の返済が不要になるのに対し、個人民事再生は借金は大きく減額されるものの全額ではなく、減額後の借金は返していく必要があります。このほか、自己破産では現在価格が20万円の超の財産、ただし現金の場合は東京都で99万円超の現金が処分されてしまいます。一方、個人民事再生では、最低でも保有している財産と同額は返す必要があるものの、財産が処分されることはありません。ただし、たとえばオートローンを完済していない車のように、家以外の財産が処分されてしまうケースはあります。そのほか、自己破産では必要な手続きが終わるまで保険の募集人や警備員などの仕事をすることが制限されますが、個人民事再生の場合はこのような制限を受けることがありません。

任意整理と個人民事再生の違いですが、任意整理では利息制限法上の上限金利まで借金が圧縮されますが、個人民事再生より減額される借金の額は低いのが普通です。このほか、個人民事再生は裁判所を介して法的に借金減額をする方法のため、全債権者を対象とする必要があります。一方、任意整理は裁判所を介することなく行なう私的な債務整理のため、どの債権者の借金を整理するかは債務者が自由に決めることが可能です。

家を残せる債務整理

債務整理といえば自己破産を真っ先に思い浮かべる人が多いでしょうし、自己破産しか借金を整理する手段はないと思っている人もいるでしょう。しかし、債務整理は自己破産以外にも、複数の方法があるのです。その中のひとつが民事再生で、個人だけを対象とした民事再生のことを個人民事再生といいます。個人民事再生はマイホームなどの財産を手放すことなく、大きく減額された借金を数年間かけて分割返済していく債務整理の方法です。手続きを行ない、減額された借金をすべて返し終えれば、返済計画の対象となっていた借金に関しては、基本的には法律上返す義務がなくなることになります。

個人民事再生なお、これは個人民事再生に限った話ではありませんが、債務整理を行なうと信用情報機関に事故情報としてそのことが5~10年間程度にわたり掲載されるため、新規での借入やローンの契約が事実上不可能になってしまいます。よくこのことがデメリットとして取り上げられますが、不必要な借金を作ることの抑止力になるため、メリットととらえる人も少なくありません。

個人民事再生は債務者が自力で申し立てを行なうことができますが、手続きが複雑で専門的な知識が要ります。借金の返済が苦しく個人民事再生について学ぶ時間と手間をかけている余裕もないということで、法律事務所の弁護士に相談・依頼するのが普通で、自力での申立てをしている人は滅多にいないという話です。当サイトでは、個人民事再生とほかの債務整理との違いや、個人民事再生の種類、手続きの流れについて解説していますので、興味のある方はチェックしてみてください。

◇関連サイト◇借金問題相談-弁護士法人アディーレ法律事務所